日本細見 (中公文庫 M 11-6)

日本細見 (中公文庫 M 11-6)

実家で読売新聞を取っている関係上、ごくたまに「二十世紀クロニクル」を読む。「オリエンタリズム大好き外人」というイメージを持っていた私だが、やっぱりこの本を読んでもそのイメージは払拭できずというか、むしろ強まった。こういう外人は一般的な日本人よりも日本の文化・歴史・風俗に精通しており、なおかつ、甑床しい日本を非常に愛しているわけだ。それは私(たち)日本人にとってはうれしくもあるし、誇らしくもあるけれど。しかし、彼(ら)は幻の日本を愛している。(断言)
この本にも常に出てくる「近代日本への警鐘」的なもの、「文明化への怒り」的なものが、非常にうっとおしい。所詮、観光客だろお前は。という感じ。「昔の日本人が持っていた奥ゆかしさ」って、今の日本人には奥ゆかしさがないわけじゃないのだ。というか、奥ゆかしいことが美徳と思うか思わないかっていうのは人それぞれの価値観に委ねられているんじゃない?